米銀大手のJPモルガン・チェースが従業員に対話型人工知能(AI)「Chat(チャット)GPT」の利用を制限したことが22日、分かった。
メールや報告書の下書きなど業務に使うことで、顧客情報などが漏れるリスクを防ぐためとみられる。
仕事の効率化に対話型AIを生かす企業が増えるなか、情報セキュリティーへの対応は今後の焦点となる。
関係者が明らかにした。幅広い部署の従業員が対象となる。
米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)は2021年12月、従業員同士のやりとりを記録・保存していなかったとして、JPモルガンに合計2億ドル(約270億円)の制裁金を科した。
社員個人の携帯端末で対話アプリ「ワッツアップ」などを使い、業務上の連絡をしたことを問題視した。
22年9月には同様の管理不備があったとし、米ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなど11社の銀行と証券会社に合計18億ドルの制裁金を科した。
便利な業務改善技術が広がるなかで、当局は金融機関の情報管理に監視の目を光らせる。
JPモルガンのチャットGPTの制限はこうした流れを反映しているとみられる。
チャットGPTは大量の文章データを学び、自然な会話文をつくれるようにしたAI。
世界中で性能の検証が進み、米ペンシルベニア大学ウォートン校では経営学修士号(MBA)の試験科目で合格できるレベルの回答をしたと伝わっている。