政府は5日の男女共同参画会議で、女性活躍・男女共同参画の重点方針(女性版骨太の方針)の原案を示した。
東証プライム市場に上場する企業の女性役員の比率を2030年までに30%以上にする目標を設ける。
多様な価値観や考え方を企業活動に取り入れて成長につなげる。
優良なスタートアップ企業に占める女性起業家を2033年までの10年で20%にする新目標も掲げる。
目標はいずれも罰則のない努力義務とする。
岸田文雄首相は4月に「従来よりも踏み込んだ具体策で女性登用の促進に弾みをつける」と強調していた。
重点方針は女性登用に関する目標を定める意義を「女性のキャリア形成の意欲向上のみならず、社会経済の意思決定における多様性と活力が高まる」と記した。
与党との調整を経て月内に正式決定する。6月中にまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に反映する。
東証プライム上場で「女性役員がゼロ」という企業の比率は22年7月末時点で18.7%だった。
30%を超える企業は2.2%にとどまる。上場企業には25年をめどに女性役員を最低1人登用するよう促した。
政府はプライム上場企業に目標を達成するための行動計画をつくるよう推奨する。
数値目標は23年中に東証の上場規則に規定を設ける予定だ。
女性起業家の目標は「Jスタートアップ」と呼ばれる新興企業を対象にする。
2018年に始まり、経済産業省が中心になって23年5月時点で238社を選定した。
国や民間が有望企業に資金支援などをする制度で、メルカリやユーグレナといった会社も名を連ねる。
この238社の女性起業家の比率は5月時点で8.8%にとどまった。
金融庁の報告書によると全国の企業に占める女性社長は21年時点で14.2%だった。起業する女性の少なさが目立つ。