三井住友がSBIへ1割出資
三井住友フィナンシャルグループ(FG)がSBIホールディングス(HD)に1割程度出資する方向で最終調整していることが21日、わかった。
SBIHDが実施する第三者割当増資を三井住友FGが引き受け、証券事業で本格的に提携する。
法人などに強みを持つ伝統的なメガバンクと、ネット証券やフィンテックで先行するSBIHDとの資本業務提携により、金融機関の競争は新たな段階に入る。
SBIHDへの出資は米金融当局の承認が前提となり、調整を進めている。
SBIHDの直近の時価総額は約6000億円で、三井住友FGが1割を持つ場合、600億円以上の出資額となる可能性がある。
SBIHDは845万口座、大手証券を上回る
SBIHDは傘下にネット証券最大手のSBI証券を抱え、強固な個人顧客の基盤を持つ。
比較的若い現役世代の顧客が多く、22年3月末時点の口座数が845万(SBIネオモバイル証券などを含む)と、野村証券や大和証券を上回っている。
一方で、法人顧客や富裕層には浸透し切れていない。預かり資産残高は23兆円で大手証券との差は大きい。
SBIは『第4のメガバンク』を目指している
ここ数年は「第4のメガバンク」構想を掲げ、地銀との提携を進めていた。
21年にはTOB(株式公開買い付け)で新生銀行を傘下に加えた。新たな資本調達により財務基盤も強化し、積極的な買収戦略を継続させる方針だ。
SBIHDも三井住友FGへの少額出資を検討しているもようだ。
三井住友はネット証券が課題であった
個人投資家の間でネット投資が浸透する中、三井住友FGはネット証券部門が弱いことに課題を抱えていた。
三井住友銀行のリテール部門が抱える巨大な顧客基盤をネット証券と連携させるなどの施策を検討するとみられ、貯蓄から資産形成の流れを加速させる。
三井住友とSBIは連携を深めてきた
三井住友FGは20年、SBIHD子会社でスマートフォン証券を手掛けるSBIネオモバイル証券に20%出資した。
ブロックチェーン(分散型台帳)を活用したデジタル証券の分野でも連携し、SBIHDがグループで70%、三井住友FGが20%出資する私設取引所「大阪デジタルエクスチェンジ」を設立した。
今回の出資によって、両グループは証券分野を中心とした本格的な提携に踏み込むことになる。
SBIHDのメインバンクはみずほFGで借り入れなどを通じて結びついてきたが、三井住友FGへの傾斜が一段と鮮明になった形といえる。
SBIHDが三井住友FGの出資を正式に受け入れた場合、みずほとの関係も今後焦点になる。
所見
三井住友は課題のネット証券を、SBIは課題の法人などの大口取引を。
これは良い相乗効果を生む。
資金が潤沢になりSBIはこれまで以上にサービス向上の可能性がある。
日本の個人投資家が更に活性化するかもしれない。