イギリスのインフレ一段と進行
英国でインフレが一段と進んでいる。
英統計局が22日発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月に比べて9.1%上がった。
伸び率は4月より0.1ポイント拡大した。ガソリンなどのエネルギーや食料品、家具など幅広い品目が値上がりした。
市場ではインフレ抑制に向けた利上げが続くとの見方が多く、景気の減速懸念が強まりそうだ。
40年ぶりの高水準
CPI上昇率は前月に続き、現行の統計を遡れる1989年以降で最大になった。
統計局が参考用に出している過去の長期推計データを基にすると、1982年3月(9.1%)と並ぶ40年ぶりの高水準だった。前月比では0.7%上昇した。
インフレ率を足元で押し上げているのが食料品だ。
前年同月比の上昇率をみると5月は「食品・非アルコール飲料」が8.6%と、4月より1.9ポイント拡大した。パンやシリアルの値上がりが目立つ。
穀物などの原材料高を受けた価格転嫁が進んでいるもようだ。「アルコール飲料・たばこ」は5.0%と、伸び率は0.6ポイント高まった。
インフレ率は10月に11%の予想
英国では4月に家庭向けの電気・ガスの単価上限が5割あまり引き上げられ、CPI上昇率が2ポイント跳ね上がった。
ロシアのウクライナ侵攻後に進んだ原油や天然ガスの価格高騰の影響で、規制当局が次に単価を見直す10月にはさらなる大幅引き上げが避けられない。
イングランド銀行(中央銀行)はインフレ率が同月に11%強へ達すると予測している。
5月の英インフレ率は8%台の米国やユーロ圏を上回った。
エネルギー値上げの影響が遅れて反映されたのに加え、経済の先行き不安が重荷となった通貨ポンド安による輸入コストの高まりも響いている。
0.25%引き上げ
イングランド銀行は16日に政策金利を0.25%引き上げ、年1.25%とした。
賃金の上昇圧力も増しており、労働需給の引き締まりによる国内要因のインフレ定着を警戒している。
より強力な0.5%の利上げを唱えたマン政策委員は20日の講演でポンド安の影響に懸念を示し、「既に定着している国内のインフレが、輸入品の値上がりで押し上げられるリスクを抑えられる」と主張した。
所見
エネルギー、食品を中心にインフレが進む。
イギリスは経済先行き不安によるポンド安も進行したため、輸入コストが上がっている。
日本も同様の要因で、急激にインフレが進むか?