9/1より東証市場再編に伴う、選択申請が始まった。地銀へのアンケートでは、最上位の「プライム市場」の基準を満たすという通知を受けたのは8割強。メリット・デメリットがあり、判断が迫られる。(判断期限は年末)
上場する地銀は72行、現在は全て東証1部に属している。プライムへの上場をめざすには流通株式が焦点にとなる。時価総額100億円以上、流通比率35%以上が必要、取引先との持ち合い株は除かれる。そもそも時価総額100億円未満の地銀は、島根銀行・福島銀行・大東銀行と3行ある。
基準については、当初満たさなくとも経過措置があり、年末までに改善計画書を開示すれば「当面の間」はプライムに上場できる。猶予期間は明らかにされていない。
新たな上場基準は妥協も多い、当初は厳格な基準を目指していたが、下位市場に転落する企業の信用に傷がつくと反発があり、大きく改革が後退した。「中途半端に緩いので、頑張らざるを得ない、厳しければあきらめもつく」と東証1部の中堅社長より声も漏れる。
東証1部上場は約2,190社、約7割が基準を満たしている。
一方、上場基準を満たしていてもプライムに移るか、判断は別である。人材も限られる地銀にとって高度な情報開示・企業統治は重荷となる。
重い課題の一つに、気候変動が事業活動や収益に与える影響を明らかにする「気候関連財務情報開示タスクフォース」に基づくデータ収集・分析がある。「外部委託するしかない」とある地銀幹部より声が漏れる。開示書類は英語記載したり、社外取締役比率を3分の1以上にしたりする必要もある。
「東証1部」の看板は、地方における中核的な存在・威厳を示し、優秀な人材確保にも寄与していた。金融庁からは「非常上でも、信用金庫などのように活動がしっかりしていれば信頼も得られ、人材も集まる」と指摘されている。
看板か身の丈か。
所見
東証1部上場の地銀72行は、今回の選択で大きく差が出るだろう。無理をしてプライムへ移り、看板を守る。もしくは、身の丈にあったスタンダード、グロースを選ぶか。
私は無理をしてプライムを選んだ方が、良いと思う。
商売をしやすいし、企業統治などに体力をかけることは将来銀行が成長するきっかけにもなると思う。
[…] 地銀は何社プライムに残れるか、こちらの記事を参照。 […]