米ツイッターを買収した起業家のイーロン・マスク氏は19日、2021年に同社のSNS(交流サイト)から永久追放したトランプ前米大統領のアカウントを復活させると明らかにした。
トランプ氏は24年の次期米大統領選に出馬を表明したばかり。マスク氏による早急な判断が議論を呼ぶのは必至だ。
マスク氏は18日から自らのツイッターアカウント上でトランプ氏の復帰をみとめるべきかを「はい」か「いいえ」の二択で答えるよう呼びかけるアンケートを実施していた。
締め切りに設定した19日夕までに約1508万票が投じられ、トランプ氏の復帰に賛成が51.8%、反対が48.2%だった。
マスク氏は19日夕、「人々は話した。トランプ氏は復帰する。民衆の声は神の声」とツイートし、アンケートの結果に従ってトランプ氏のツイッターアカウント復活を認める方針を示した。
マスク氏はツイッターの買収が完了した10月下旬に同社のコンテンツモデレーション(不適切な投稿の監視・削除)を監督する評議会を設置し、有力アカウントの停止や復活などの重大な判断にあたっては有識者の意見を取り入れる方針を示していた。
ツイッターは21年1月に起きた米連邦議会議事堂襲撃事件の際のトランプ氏の投稿を精査し、さらなる暴力行為をあおる危険性があると判断して同氏を永久追放した。
「言論の自由を守る」と表明してツイッターを買収したマスク氏は22年11月8日投開票の米中間選挙の後にトランプ氏の復帰を認めるか否かを判断する考えを示していた。
トランプ氏は15日に米南東部フロリダ州で演説し、24年の次期米大統領選に出馬すると表明した。
永久追放される直前にツイッター上で約8800万人のフォロワーを抱えていたが、現在は自ら立ち上げたSNS「トゥルース・ソーシャル」上で情報発信を続けている。トランプ氏は19日、同SNSへの投稿でツイッターに戻る考えはないと述べた。
米共和党の一部でトランプ氏のツイッター復帰を望む声がある一方、米民主党を中心とする左派は反対していた。
トランプ氏が今後、ツイッター上でどのように振る舞うかは不透明だが、同氏が不正確な情報発信を続けた場合には広告主らの離反を招く可能性がある。