人員削減は数千人
米起業家のイーロン・マスク氏が経営権を握った米ツイッターで4日、大規模な人員削減が始まった。
対象は数千人規模にのぼるもようで、日本法人で働く社員も対象になった。
ツイッター上には退職した社員からのものとみられる投稿があふれている。
人材の流動性が高い米シリコンバレーの企業でもこれほどの規模のレイオフ(一時解雇)は珍しく、余波が続きそうだ。
「時代のおしまい。このような形で10年の歴史に幕を閉じるのは残酷なことだ」。
ツイッターの米東海岸で働いていたとみられる研究職の女性は4日朝、ツイッターにこう投稿した。
ツイッターには同日「#LoveWhereYouWorked」「#OneTeam」などのハッシュタグをつけた投稿が相次いだ。
多くは解雇された社員からのものとみられ、失職の報告や同僚への感謝の言葉がつづられている。
「#TwitterLayoffs」は一時、トレンドの上位に入った。
今回の人員削減の対象は米国外で働く社員も含み、日本でも幅広い部署で社員を解雇したとみられる。
関係者によると日本の広報部門は全員が対象になった。
一部の社員の電子メールは4日朝時点で使えなくなっている。
解雇に伴い社内の情報システムへのアクセスを遮断したもようだ。
米メディアなどによると、10月27日にツイッターの買収手続きを完了したマスク氏は収支改善に向けて経費の削減を急ぐ考えを示し、解雇する社員の選定に入った。
3日には全社員に「4日午前9時(米西部時間)までに当社での新たな役割についてのメールを個別に送る」と通知し、大規模な人員削減の実施を示唆していた。
マスク氏は4日、ツイッターへの投稿で「(人権)活動家のグループが広告主に圧力をかけたため、収益が大幅に減少した」と説明した。
1日あたり400万ドル以上の損失
人員削減については「残念ながら1日あたり400万ドル(約6億円)以上の損失を出している以上、不可避だ」と述べた。
買収直後の大規模なレイオフに関しては、労働関連の法令に抵触する恐れがあるとの指摘も出ている。
米ニューヨーク州議会の議員は4日、「州法で大規模なレイオフは90日前の通知を義務付けている」などとするメッセージをツイッターに投稿した。
労働法を専門とする弁護士も相談を呼びかけている。
ツイッターの年次報告書によると、2021年12月末時点の社員数は約7500人で、3年間で約9割増えていた。
リストラの規模について米メディアはこの半分程度と報じているが、マスク氏による買収案が浮上した今春以降に1000人を超す社員が退社済みとの情報もある。
リストラの規模については情報が入り乱れている。
ツイッターは「社員や情報システム、顧客データの安全確保」を理由に、4日は各地のオフィスを一時的に閉鎖した。
社員証による入館も制限している。
米サンフランシスコ市の中心部に立地する本社では4日、警備員のほかは人の出入りはほとんどなかった。本社ビルの低層階に入るカフェやフードコートも閑散としていた。