同居期間が20年超の夫婦の熟年離婚が増えている。厚生労働省(人口動態統計)によると2019年に4万件強と9年ぶりに4万件を超えた。離婚件数全体が同期間で2割減っている状況と比べて目立つ。
熟年離婚協議では、子どもが独立しているケースが多く、夫婦の財産分与をどうするか、という問題が中心となる。財産分与の対象は婚姻期間中に築いた「共有財産」。
共有財産…預貯金、不動産、有価証券、生命保険、貴金属、自動車、退職金、年金、住宅ローン、自動車ローン(負債も含む)など
共有財産では無い「特有財産」…独身時代から持っていた預金、婚姻期間中の贈与や相続で受け取った財産など。
共有財産は2分の1ずつが基本となる。(判例に基づいて確立しているルール)
熟年離婚では退職金や年金も一定の条件で財産分与の対象になる。
退職金…退職金を既に受け取っているケースは共有財産になり、近い将来支給される退職金も含まれる。(定年退職まで5年以内の場合、10年以内でも大企業や公務員は認められるケースが多い)
公的年金…離婚の際に年金を分けられる「年金分割」という制度がある。分割対象は厚生年金の報酬比例部分。(婚姻期間中の年金保険料は夫婦が共同で負担したという考え方)保険料の納付記録を分割し、分割した記録を基に夫々の年金額を計算する。両名が厚生年金の場合は、それぞれの報酬比例部分を合算して分ける。年金分割制度は「合意分割」と「3号分割」の2つの種類がある。
- 合意分割…婚姻期間全体の厚生年金の納付記録を裁判もしくは夫婦の合意で分割割合を決める。分割の上限は50%。
- 3号分割…専業主婦など第3号被保険者のきかんがある場合に、配偶者の合意がなくても2分の1ずつ分割できる。(3号分割が導入された2008/4以降の期間に限られる)
年金分割は原則、離婚後2年以内に年金事務所で請求手続きが必要。
所見
普段働けているのは、夫婦2人の協力があってこそ。離婚をしても名義関係なく財産は折半する。FIREを目指すのであれば、夫婦仲を良好に保つことが1番重要なのかもしれない。