日本の低金利が良いか・悪いか、の議論は置いて考えても、日銀が必死に押さえつけても金利を下げられなくなる状況は不味い。
黒田総裁が変わる来年4月には、大きく金利上昇もありえる。
長期金利0.255%、0.25%を突破
19日の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが上昇(価格は下落)し、一時0.255%と日銀が現在の金融政策で上限とする「0.25%程度」を上回る場面があった。
日銀の上限超えは6月17日以来およそ4カ月ぶり。
世界的な金利上昇圧力を背景に日本でも国債の売り圧力が強まっている。
日銀は毎日10年債を0.25%で無制限に買い入れている。
本来なら市場で売却するより日銀に売却する方が高く売れるため有利だが、多少不利でも10年債を早めに売る動きが10年債利回りを押し上げた。
27~28日に日銀の金融政策決定会合を控え、政策変更に備えて国債を売る動きが強まった面もある。
1ドル=149円台、金融政策修正を警戒
外国為替市場では円安・ドル高が加速し、19日にも一時1ドル=149円台半ばと32年ぶり円安水準を付けた。
海外勢を中心に一部では日銀が円安を抑えるために金融政策修正に動くとの観測が浮上していることも日本国債売りにつながっている。
19日には新発5年物国債が2015年8月以来となる0.1%台を付けた。
岡三証券の鈴木誠氏は「中期債や超長期債で経済情勢に見合った金利上昇が進んでおり、日銀に低く抑え込まれた10年債利回りにも上昇圧力が強まっている」と指摘している。