24日の日経平均株価は続落し、前日比275円(1%)安の3万0682円で取引を終えた。
主因の一つはインバウンド(訪日外国人)関連株の急落だ。
オリエンタルランド(OLC)は一時6%安に沈んだ。
背景には、需要回復が期待された中国で新型コロナウイルスの感染再拡大の懸念が浮上したことがある。
歴史的な高値圏にある株式相場の重荷になる恐れがある。
業種別日経平均でみて下落が顕著だったのが「小売業」だ。前日比で3%安に迫った。
個別では三越伊勢丹ホールディングスが一時5%安の1401円まで下げたほか、髙島屋も一時4%安まで下落。
その他もOLCやALなど、代表銘柄はこぞって下落し、日経平均株価の足を引っ張った格好だ。
このところインバウンド関連は総じて堅調だった。
たとえばOLCは23日時点の2022年末比上昇率は42%と、日経平均の19%を大きく上回る。
株高の背景には、中国の厳格なコロナ対策の緩和を受けて、日本への訪問客拡大が業績を押し上げるとの期待があった。この前提が24日に揺らいだのだ。
中国で感染症研究の第一人者である鍾南山氏は22日、中国では「6月末に新型コロナウイルスの感染第2波がピークに達し、毎週約6500万人が感染する」との見方を示した。
厳しい感染対策「ゼロコロナ政策」を1月に終了しており、抗体の力の低下が再感染につながるとの見方だ。仮に実現すれば、日本への訪問客拡大は見込めなくなる。
T&Dアセットマネジメントの浪岡宏ファンドマネージャーは「インバウンド関連銘柄は中国人観光客の回復を織り込んでいただけに、(中国のコロナ再拡大懸念で)先高期待が崩れた」と分析する。
格好の利益確定売りの材料になった側面もある。
日経平均は22日まで8日続伸し、およそ33年ぶりに3万1000円台を回復していた。
日本企業の変革期待は依然としてなお強いが、急ピッチな上昇で高値警戒感が台頭していた。かねての米国の債務上限問題もあり、いったん持ち高を落とす動きにつながりやすかったというわけだ。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは「日本株を支える好材料は前倒しで織り込んでおり、今後は個別の悪材料ごとに調整が深くなる」とみていた。
日経平均の一段高には、こうした売りをこなすことが欠かせない。