アメリカ株はコロナ禍でも、金利高・原油高でも最高値を更新しているようですよ。
世界の株式市場で米国株の強さが目立っている。
アメリカ株が上がる理由
米企業の好決算が続き、資源高や供給制約などの逆風下でも米経済は強いとみた投資家の資金が集まっている。
債券利回りの低さから消去法的に米国株が買われている面もある。
ただ米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和が修正局面に入り、マネー流入も転機を迎える可能性がある。
他国との比較
22日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が3万5677ドルで取引を終え、8月16日に付けた最高値を2カ月ぶりに更新した。
10月以降の上げ幅は1833ドルで、5・4%に達する。上昇率が2%弱のドイツや英国、0・4%の中国、マイナスの日本と比べ突出する。
業種別の要因
S&P500種株価指数の業種別の月間上昇率(21日時点)をみると、エネルギーが10%、素材や一般消費財、資本財、金融がそれぞれ7%前後で上位にならぶ。
資源高はエクソンモービルやシェブロンといった石油大手の追い風になり、金利上昇はアメリカの銀行の利ざやの改善につながる。
資源高や金利上昇は本来、他業種には重荷になることが多い。ただ先週から本格化した2021年7~9月期の決算発表では、コスト高をはね返して市場予想を超える利益を上げた企業が多い。投資家が買い直すきっかけとなっている。
経済全体の先行きも他の主要国より優位にある。国際通貨基金(IMF)は最新の世界経済見通しで、米国の22年の実質成長率を5・2%と予測した。英国(5%)やユーロ圏(4・3%)、日本(3・2%)より高い。
米運用会社フランクリン・テンプルトンのスティーブン・ドーバー氏は「エネルギー高騰の影響が米国は限定的という点も株高要因」という。
米ゴールドマン・サックスのデービッド・コスティン氏は「投資先として、株式以外は魅力に欠ける」と話す。
米10年物国債利回りはここ1カ月ほどで上昇(価格は下落)したものの1・6%台で、社債の利回りも歴史的にみて低位だ。
今後も続くのか
10月以降の株価上昇が急だっただけに、楽観を戒める声もある。
「米金利がインフレ懸念で上がり始めたのに、株価は半ば無視する形で上がっている」。あるヘッジファンドの運用担当者は、米金利の一段高を見据えて米株への投資を控えていると打ち明ける。
日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が値上げを美容品や歯磨きなどに広げると表明したように、コスト高を販売価格に転嫁する動きも出ている。
インフレが長期化すると家計の消費余力は低下する。
FRBは11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和の縮小(テーパリング)を決め、来年半ばには完了する段取りを思い描く。
金利先物市場では「22年に2回以上の利上げ実施」を織り込む動きが広がる。米政府やFRBは景気の底堅さを保ちつつ、インフレも制御できるのか。
手綱さばきが米株相場の行方も左右する。
所見
「米金利がインフレ懸念で上がり始めたのに、株価は半ば無視する形で上がっている」ということに怖さを感じる
足元は、コスト高を跳ね除ける企業業績が出ているが、次の決算などで、弱さが出た時に一気に売りになる可能性がある。
資産運用でもアメリカ株が中心となるため、個人投資家としては、怖くても買わざるを得ない。
「ドルコスト平均法」と割り切って、高値でも買い続けます。