インフレは子育てに直撃する。
子を持たない人が増えれば、さすがのアメリカも経済低迷する可能性が高い。
インフレ対策は長期的な国存続のためにも、重要。
子育てコスト増、一人4,100万円
米国で子育てにかかるコストが増え続けている。
米ブルッキングス研究所は中間層が子ども一人を育てるのに必要な費用を30万ドル(約4100万円)超と推計する。
米国内のインフレは約40年ぶりの高水準に達しており、子育て費用は2年前のインフレ率を使った試算に比べて1割近く増えた。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が伝えた。
同研究所は2017年の連邦政府の推計を基に、インフレによる物価上昇を反映して算出した。
中間所得層の夫婦が15年に生まれた子どもが高校を卒業する17歳まで養育した場合、31万605ドルかかるという。
20年のインフレ率で計算した推計よりも2万6000ドル高くなった。
食料、家賃、エネルギーのインフレ
背景にあるのは、生活に不可欠な食品や家賃、ガスなどの価格高騰だ。
米労働省によると、7月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比で8.5%と高い伸びが続いている。
外食を除いた食費は同13%上昇した。住居費の上昇率も同5.7%と31年ぶりの高水準となった。
出生数の低迷に繋がっている
子育て費用の増加は出生数の低迷にもつながっているようだ。
米ピュー・リサーチ・センターの21年の調査によると、子どもがおらず「これからも子どもを持たない可能性が高い」と答えた18歳から49歳は全体の44%だった。
理由を聞くと、医療に関する理由(19%)に次いで経済的な理由(17%)が多かった。
米国立健康統計センター(NCHS)によると、21年の出生数は365万9289人と、新型コロナウイルス禍で落ち込んだ20年と比べて1%増加した。
ただ、ピークだった07年と比べると15%減少している。